長野県飯田市の遠山郷を走る林道赤石線は、標高513mの国道152号交差部から「日本のチロル」と称される標高1,060mの下栗の里へと駆け上がり、さらにしらびそ高原方面へと通じる距離7.6km・獲得標高595mの本格的な山岳ルートです。麓の程野集落を出発して深い針葉樹林帯へ入ると、平均斜度8%前後に達する急勾配とタイトなヘアピンカーブが連続し、静寂の中で自らの脚力と向き合う濃密なヒルクライムが始まります。標高を上げるにつれて木々の合間から視界が大きく開け、おおぎびら展望台をはじめとする随所から、聖岳や兎岳といった南アルプス3,000m級の峰々や中央アルプスの大パノラマを一望できる圧倒的なスケール感が魅力です。
急峻な林道を登りつめた先に現れる下栗の里は、最大傾斜38度にも及ぶ急斜面に民家や段々畑、茶畑が張りつくように広がる天空の集落で、「にほんの里100選」にも選ばれた独自の景観がサイクリストを迎えてくれます。自転車を降りて遊歩道の「天空の里ビュースポット」から集落全景を見下ろすのが定番の楽しみ方であり、集落内の食事処では名物の下栗いも料理や手打ち蕎麦、麓の古民家食堂では鹿肉料理などの郷土グルメを堪能できます。また、麓には中央構造線の程野露頭や約800年の伝統を持つ霜月祭ゆかりの神社が点在し、頂上の集落エリアには自動販売機や公衆トイレも備わっているため、さらに奥地へ挑む前の貴重な補給・休憩拠点としても機能します。