愛媛県西条市と高知県いの町にまたがる「UFOライン(正式名称:町道瓶ヶ森線)」は、標高1103mから最高地点1692mの尾根沿いを縫うように走る、サイクリスト憧れの山岳ルートです。かつては「雄峰ライン」と呼ばれていましたが、UFOの目撃写真が話題となったことから現在の愛称が定着しました。視界を遮るもののない圧倒的なパノラマが広がるこの道は「天空の道」とも称され、自動車のCMロケ地にも選ばれたほどの絶景を誇ります。石鎚山脈の雄大な自然に抱かれながら、鳥のさえずりや風の音だけが聞こえる「走る瞑想」のような時間を体験できるでしょう。
登り方向へ進む場合、約23kmにわたる緩急のついた勾配をじっくりと味わうことになります。序盤は深い森の中を進み、徐々に視界が開けると、眼下には深い谷と幾重にも連なる山並みが広がります。毎年4月中旬の冬季閉鎖解除とともに訪れる春にはアケボノツツジや新緑が山肌を彩り、夏は標高の高さゆえの涼しい風が吹き抜けます。そして10月中旬から11月下旬にかけては、山全体が赤や黄色に染まる見事な紅葉が広がり、時には霧氷との共演という奇跡的な景色に出会えることもあります。
一方、絶景を堪能した後の下り区間では、ダイナミックなワインディングロードを駆け抜ける爽快感が待っています。ただし、大自然の中を走る山岳路ゆえに、路面のひび割れや落ち葉、落石、さらにはタイヤがはまる危険のあるグレーチングの隙間など、路面状況の変化には常に警戒が必要です。また、道幅が狭くブラインドカーブも多いため、対向車には十分注意し、安全な速度と慎重なライン取りを心がけてください。標高が高く天候が急変しやすいため、夏場でも防風シェルなどの防寒着は必須装備です。
ルート上には携帯電話の電波が届かない区間が多く、自販機などの補給ポイントもほとんど存在しません。唯一食事が可能な「山荘しらさ」も水曜定休のため、十分な水分と補給食、パンク修理キットなどの携行は絶対条件となります。スタート地点としては、駐車場や温泉施設を備えた高知県側の「道の駅木の香」を利用するのが便利です。万全の準備を整えて、四国が誇る天空の絶景ライドに挑戦してみてください。