「奥利根ゆけむり街道」の愛称で親しまれる群馬県道63号水上片品線は、みなかみ町から標高約1,620mの坤六峠を越えて片品村へと抜ける、全長47.4km・獲得標高1,535mの本格山岳ロングライドルートです。利根川の源流域にあたる奥利根の深い山並みを貫き、雄大なダム湖群や渓谷美、秘湯の風情を味わいながら走る群馬県内屈指のヒルクライムコースとして多くのサイクリストを魅了しています。
みなかみ町側から片品村方面へ向かう場合、SL転車台広場やカフェが点在する水上温泉街周辺を起点に、まずは藤原ダムと藤原湖、須田貝ダムが堰き止める洞元湖、そしてロックフィル式の巨大な奈良俣ダムとエメラルドグリーンの水面を湛えるならまた湖を次々と巡りながら高度を上げていきます。湯の小屋温泉を過ぎると道は本格的な山岳区間へと姿を変え、周囲は深いブナ原生林の静寂に包まれます。峠へと向かう中腹に広がるのは、俳人・水原秋桜子がその美しさを称えて大小11の滝を命名した名勝・照葉峡です。清流が織りなす渓谷美が、連続するつづら折りに挑む脚を癒やしてくれます。
約38kmにおよぶ長い登りの果てに到達する最高地点の坤六峠は、かつての林道開削に尽力した当時の群馬県知事・神田坤六氏にちなんで名付けられた峠で、登り切った際の達成感は格別です。峠から片品村側へは勾配のきつい約9kmの爽快なダウンヒルとなり、反対に片品村側からみなかみ町方面へ走る場合は、序盤で一気に坤六峠へ登り詰めた後、約38kmにおよぶ長大な下りを駆け抜けるダイナミックな構成となります。例年5月下旬の冬期閉鎖解除直後に見られる残雪と鮮やかな新緑のコントラストや、10月に峠から渓谷へと駆け下りる関東屈指の紅葉など、季節ごとに圧巻の自然美に出会える名道です。