千葉県市川市から松戸市、流山市を経て野田市へと至る全長約53.7kmの江戸川左岸ルートは、関東屈指のロングフラットなリバーサイドコースです。全行程を通して獲得標高はわずか60m余りとほぼ完全な平坦路が続き、信号や車の往来に遮られることなく一定のケイデンスでどこまでも巡航できる爽快感が最大の魅力となっています。市川周辺の走り始めなどごく一部に未舗装や路面が荒れた箇所が残るものの、流山を過ぎて松戸野田関宿自転車道線に入ると視界が一気に開け、広大な空と江戸川の豊かな水面、のどかな田園風景を左右に眺めながらの開放的なクルージングが楽しめます。
かつて江戸へ物資を運ぶ舟運の大動脈として栄えた江戸川沿いには、水運の歴史と文化を感じられる見どころが点在しています。市川・松戸エリアでは、江戸川と都心の大パノラマを一望できるアイ・リンクタウン展望施設や高台の里見公園、明治期の趣を残すレンガ造りの柳原水閘、現在も木造手漕ぎ舟が往来する「矢切の渡し」、徳川昭武ゆかりの戸定邸や寺院境内のカフェテラス回向院など、多彩な立ち寄りスポットが揃います。さらに白みりん発祥の地である流山の一茶双樹記念館や赤城神社を経て、利根川との分岐点に位置する終点の関宿城へと至る道程は、単なる長距離走行にとどまらない奥深い歴史探索の楽しさを提供してくれます。
季節ごとの表情も豊かで、特に春先は堤防の斜面を黄色く染め上げる見事な菜の花畑の中を駆け抜ける「菜の花ライド」が多くのサイクリストを魅了し、秋から冬にかけては澄み渡る青空の下で遠くの山並みまで見渡すことができます。一方で堤防上は風を遮るものがなく、春夏は南風、秋冬は強い北風の影響を直接受けるため、事前の風向き確認とペース配分が攻略の鍵となります。また、コース上には売店や自動販売機がほとんどないため早めの水分・補給食の確保を心がけ、利根運河水辺公園や野田市内の東金野井休憩所、終点の関宿城周辺の設備を計画的に活用しましょう。