群馬県みどり市の渡良瀬川に沿って延びる「わたらせ渓谷街道」は、かつて江戸時代に足尾銅山から産出された粗銅を運んだ歴史ある「あかがね街道(国道122号)」の前半部にあたる約18.3kmのルートです。みどり市街側から足尾方面へと北上すると、標高197mから449mまで緩やかなカーブと適度なアップダウンを繰り返しながら標高を上げていく登り基調の道のりとなります。深い木々に包まれた山あいの区間と、民家や田園が点在する里山の風景が交互に現れ、心地よいワインディングとともに変化に富んだライドを楽しめます。
川沿いならではの渓谷美と四季折々の彩りもこの街道の醍醐味です。序盤には「関東の耶馬渓」と称される高津戸峡の奇岩と清流が織りなす絶景が広がり、春には沿線の桜や約1,500本の花桃が咲き誇る「小夜戸・大畑花桃街道」が鮮やかな花回廊を作り出します。初夏の瑞々しい新緑から、山肌が錦に染まる晩秋の紅葉シーズンまで、季節ごとに異なる表情を見せ、川のせせらぎを感じながら爽快にペダルを回すことができます。
並走するわたらせ渓谷鐵道沿いには、大正元年建設の国登録有形文化財である上神梅駅の木造駅舎や、昭和初期の趣を残す旧花輪小学校記念館など、ノスタルジックな近代化遺産が点在しています。また、サイクリストの補給聖地として知られるレトロな「丸美屋自販機コーナー」や「道の駅 くろほね・やまびこ」、駅構内に温泉を備えた水沼温泉など立ち寄りスポットも充実しており、わたらせ渓谷鐵道の輪行を組み合わせて足尾側から下り基調で巡るツーリングにも最適です。