奥日光の光徳エリアと鬼怒川源流の秘湯・川俣温泉を結ぶ山王林道(林道奥鬼怒線)は、手つかずの原生林が織りなす静寂を心ゆくまで味わえる全長22.2kmの本格的な山岳ルートです。一般車両の往来は少なく、聞こえるのは自らの息づかいと木々のざわめきだけという贅沢な環境が広がります。初夏にはブナなどの眩しい新緑が頭上を覆い、標高1,000mから1,700m超の涼しい高原気候のなかで爽快なライドが楽しめます。また、10月中旬からは太郎山や山王帽子山の山腹が鮮やかに色づき、日光エリアで最も早く紅葉が訪れる絶景コースとしても知られています。
光徳側から川俣温泉へ向かう場合は、男体山を望む美しい光徳沼や、濃厚なソフトクリームでエネルギー補給ができる光徳牧場を起点にスタートします。最高地点である標高1,733mの山王峠までは平均斜度5〜6%程度の比較的緩やかな登りと適度なアップダウンが続き、森林浴を楽しみながら高度を稼げる中級者にも親しみやすいプロファイルです。一方、川俣温泉側から山王峠へ登る場合は、標高差700m以上を一気に駆け上がる急勾配と切り立った岩肌に沿うヘアピンカーブが連続し、持続的なパワーが求められる上級者向けのストイックなヒルクライムへと表情を一変させます。峠から川俣温泉方面への下りは道幅が狭くブラインドコーナーが続くため、慎重なバイクコントロールが欠かせません。
沿線の西沢地区周辺には明治から昭和初期にかけて栄えた西沢金山の鉱山集落跡が眠り、川俣温泉には平家の落人伝説が息づくなど、深い山中に刻まれた歴史ロマンも魅力です。川俣温泉街には高く噴き上がる間欠泉を望む展望台や足湯があり、過酷な林道走破後の疲労回復に最適です。なお、光徳から川俣温泉までの約20km区間には売店や自販機が一切なく携帯電話も圏外となるため、事前の飲食補給と万全の装備で挑んでください。