「日本の道100選」にも名を連ねる富士スバルラインは、標高約1,050mの山麓から標高約2,300mの五合目まで、約24kmにわたって獲得標高1,250m超を一気に駆け上がる日本屈指の山岳有料道路です。毎年6月上旬に開催される国内最大級のヒルクライム大会「Mt.富士ヒルクライム」の舞台として知られ、山梨県の「百坂やまなし」にも認定されている、サイクリストなら一度は挑みたい聖地です。平均勾配は約5%と極端な激坂は少ないものの、長丁場で標高が上がるにつれて酸素が薄くなるため、序盤から無理をせず一定のペースを刻むマネジメントが攻略の鍵を握ります。なお、自転車も有料道路の通行料が必要となるため、麓の料金所の有人ゲートで支払いを済ませてからスタートします。
麓から五合目へ向かう登りでは、標高とともに劇的に移り変わる植生と大パノラマがペダリングを後押ししてくれます。序盤は眩しい新緑や豊かな広葉樹林に包まれたワインディングが続き、中盤からは針葉樹林帯へと姿を変えながら、樹海台駐車場や四合目の大沢駐車場から広大な青木ヶ原樹海や富士五湖を見下ろす絶景が広がります。標高1,800mを越えると森林限界が近づき、立ち枯れの木々や荒涼とした火山性の山肌が迫る高山帯特有のダイナミックな景観へと一変します。奇木群や秋の黄葉が美しい奥庭展望台付近を過ぎると、終盤にはタイム短縮のポイントとなる約2.5kmの平坦基調の区間が現れ、最後の急勾配を乗り越えた先に雲海を見渡す五合目のゴールが待っています。
到達した五合目には、古くから富士講の登山者や修験者が祈願に訪れた冨士山小御嶽神社が鎮座しており、登頂の御礼参りやサイクリストに人気の自転車守の授与を受けられるほか、レストハウスで温かい食事や名物の富士山メロンパンを味わって疲れを癒やすことができます。また、夏期のマイカー規制期間中は一般乗用車の通行が制限されるため、より落ち着いた環境でヒルクライムに集中できるのも魅力です。一方、五合目から麓へと向かう約24kmの長い下り坂は、高速コーナーが連続する爽快なダウンヒルとなる反面、高所ならではの冷たい風で急激に体温が奪われるため、万全の防寒対策と確実なスピードコントロールで安全に締めくくりましょう。