埼玉県東秩父村から山間部へと抜ける熊谷小川秩父線を行く定峰峠は、長閑な里山の風景から静寂な原生林へと移り変わる全長11.2kmのヒルクライムルートです。獲得標高は496mを数えますが、平均勾配が5%前後と穏やかで一定しているため、初心者の初めての峠越えから、中・上級者が一定ペースで踏み抜くトレーニングまで幅広く親しまれています。例年秋には「定峰峠ヒルクライム(通称:サダヒル)」も開催され、奥武蔵エリアを代表する名コースとして多くのサイクリストを惹きつけています。
古くから秩父盆地と比企方面を結ぶ生活物資の要衝であったこの道は、人気漫画『頭文字D』の舞台としても名高い峠道です。東秩父の集落から頂上へ向かうと、序盤は整備されたアスファルトと穏やかな谷あいの景色が続きますが、標高を上げるにつれて民家が姿を消し、連続するコーナーを駆け上がる本格的な山岳区間へと変化します。春には山里を鮮やかに染める「花桃の郷」や瑞々しい新緑と山桜、秋には安戸の彼岸花群生地や見事な紅葉が道中を彩り、四季折々の自然美を堪能できます。
山麓にある伝統手漉き和紙の体験施設「道の駅 和紙の里ひがしちちぶ」はサイクルラックやトイレが整い、ライドの拠点に最適です。周辺には静寂な境内の浄蓮寺や奥沢神社、さらに炭火・薪火定食の「薪火食堂アジャテ」や「つき川ドライブイン」、かき氷が評判のカフェ「セファル」など立ち寄り処が充実しています。標高600m超のピークには「定峰峠 峠の茶屋」があり、ここから白石峠や奥武蔵グリーンライン方面へと足を延ばす山岳周回ルートも定番の楽しみ方です。